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【完売御礼】8/11(金)今シーズン最終回、佐久平店限定 明鏡止水「氷室スペシャル」2023.08.10

いよいよ今シーズン最終回、明鏡止水「氷室(ひむろ)スペシャル」。
8/11(金)より販売開始です!
◆明鏡止水 純米 垂氷 無ろ過生原酒[要冷蔵]【8/11(金)販売】 (佐久市・大澤酒造)[要冷蔵]

 500ml 1,045円(税抜 950円)
通いビン 550円(税抜 500円)
売り切りビン 165円(税抜 150円)
※ご好評につき完売しました。
※業務の都合上、「佐久平店の店頭販売限定」とさせていただきます。
 小海本店での店頭販売、両店舗からの通販による発送注文は承りません。
※ビン代別途。
※要冷蔵の上、ビン詰めから一週間以内にお飲みきり下さい。
※売り切れの際はご容赦ください。

それでは、佐久平店にてご来店をお待ちいたしております。

キーワードは「風土」。天空の大地 テールドシエルのワイン造り2023.08.05

小諸市の大注目ワイナリー「テールドシエル」。
2015年ワイン用葡萄の栽培を開始。
2020年に自家醸造開始。
自家醸造を始めて間もないですが、すでに個人のお客様はもちろん、ホテルやレストランからもひっぱりだこで常に品薄の状態です。

テールドシエルの造りのテーマは「風土を映すワイン」「ブドウがなりたいワイン」です。
具体的にどういうことなのか、人気の秘密は一体なんなのか・・・
6月下旬、社長の池田さん、ブドウ栽培とワイン造りを行っている桒原(くわはら)さんにお会いし、醸造所や交流の場になっているワインハウスを見せていただきながらお話を伺ってきました。

テールドシエル 景色
【標高950mで育つ糠地のブドウ】
自社のブドウ畑のある「糠地(ぬかじ)」という地区の標高はなんと最高950m!
ワイナリー名になっている「テールドシエル」は「天空の大地」という意味なのです。
醸造所からの眺めは圧巻。雲が近く、池田さんの奥様が整えている小庭の花畑には蝶が飛び回り、
少し見下ろすと傾斜のあるブドウ畑や小諸一帯が見渡せます。

前述通り、ブドウ畑は標高900m以上。
桒原さんに糠地の風土の特徴や、ブドウを育てる上で不安などはなかったのかお聞きしてみました。

最初はシャルドネやピノノワールなど、冷涼な土地で育ちやすい早熟系の品種を植えていたそうですが
信州は雨のない秋が長いため「晩熟品種もいける」と踏み3年ほど前からシラー、カベルネフランなどを植え始めたそうです。
糠地では風の影響がうまく作用し、ブドウに悪影響を及ぼす凍害がないがないようです。そこが高地での栽培のポイントかもしれないですね!
ちなみに桒原さん、「もはや950mでも低く感じる。もっと高いところでブドウを育ててみたい」と笑っておっしゃっていました(笑)

糠地のもうひとつの特徴は「霧」。
「霧下そば」で有名なように昼夜の寒暖差で霧が多い場所でもあります。
この霧のおかげでブドウに貴腐菌がつくんだそうです。それも面白いので分けずに一緒にプレスしているとのこと。
これもひとつの立派な風土!

また、醸造所の近くに広がる社長の奥様が手入れしているガーデンもとても素敵で蝶がたくさん飛んでいました。
糠地はもともと「蝶の里」と呼ばれ、ガーデンに咲くフジバカマというお花を好む稀少な蝶の品種「アサギマダラ」も毎年500頭ほど訪れるんだそうです。
「ちょうどピノノワールの収穫時期にアサギマダラが飛んでくるのでそれもブドウ収穫時期の目安になります。
 もちろんブドウの熟度も見るけど、周りの環境からも教わることが多いんです。」
と教えてくださいました。

ちなみに現在畑は6hほど。東京ドーム1.3個分です。
草刈りなどはシルバーさんに頼みつつ、その大きさを桒原さんほぼ一人で管理しているそうです。
更に醸造もこだわりを持って行っているためなかなか生産量を増やすことが出来ないのも現実。
当店も地元の酒販店として責任をもって大切に管理し、お客様にお渡ししていく所存です。

自社で栽培している品種は以下です。
黒ブドウ:ピノノワール、メルロ、シラー、カベフラ
白ブドウ:シャルドネ、ピノグリ、ソーヴィニヨンブラン、リースリング、シュナンブラン、サヴァニャン

桒原さんは特にジュラワインがお好きだそうで、現在サヴァニャンはブレンドに使っているけど
いずれ単独で出してみたいとのこと!楽しみです。

【バスケットプレスがピュアな果汁のポイント】
もう一つ注目すべきなのは24~48時間かけてゆっくり果汁をしぼる機械「バスケットプレス」。日本での導入例はごくわずかです。
初めて拝見しましたがなかなかの大きさと迫力でした。
通常ブドウの圧搾はバルーン式だと2~3時間ほどで終了しますが
バスケットプレスで時間をかけて丁寧にしぼることで、雑味のないクリアなブドウそのものの味を更に表現できるようになります。
バスケットプレスでしぼったシャンパーニュの原液を飲んだ時に「絶対これを使いたい!」と思い池田社長を何とか説得して導入。
醸造所の天井の高さもバスケットプレスに合わせたそうです。

収穫されたブドウはまず一晩冷蔵室でしっかり冷やしてから、10℃まで室温を落としてしぼるそう。
そして「24時間以上かけてしぼる」といってもほったらかしにはできません。
ほぐして再度プレスする工程を挟むため、仕込の時は寒い中泊まり込みでバスケットプレスを見張っているとのこと・・・
時間をかけてようやく抽出された果汁は、酸化防止のためポンプで送らずホースを用いて重力でタンクまで運ばれます。
(なのでバスケットプレスは一段高い場所に置かれています。)

バスケットプレスは外に果汁が染み出す開放型。それによる酸化は気にならないのかお聞きしたところ
「もちろん極力無駄な加圧や酸化は抑えていますが、逆にその程度の酸素との触れ合いはワインになって抜栓したときに広がりあるいい風合いに繋がるんです。」
とのことでした。なるほど!過保護にしすぎても深みが出ないのですね・・・!
バスケットプレスは果肉が潰れていくというよりも、ゆっくり力をかけていき、皮が限界に達したときにパツッと弾けて裂け目から果汁が染み出していくイメージなので
長い間果肉が酸素に晒されづらいのもポイントですね。
テールドシエル バスケットプレス

【ワインに風土を映すための造りとは】
栃木で消防士をしていた桒原さんがワインと出会ったのは、
栃木県足利市のココファームワイナリーでのボランティアでした。
ココファームの原点は1950年代、特殊学級(現在の支援学級)の中学生たちによって開墾された葡萄畑です。
障がいを持つ方、福祉関係の方々と触れ合いながら作業する中で「ワインは風土と人が造るもの」という考えに至ったとのことでした。
奥様(池田社長の娘さん)との出会いもココファームだったとのこと。「ここにいるのはすべて運命と偶然ですね」と笑って教えてくださいました。

霧がでたり、日当たりが良かったり、風通しがよかったり、斜面のある地形だったり、蝶がたくさん飛んでいたり・・・
そのような糠地の風土をワインに余すところなく映すため、自然酵母で無補糖無補酸、亜硫酸もなるべく添加しない造りを行っています。
そうなると酸化や温度変化にも弱く、外部の菌にも攻撃されやすくなりますから醸造中には非常に神経を使います。
バスケットプレスの項目でも書いてある通り、温度管理をシビアに行うことで風土をワインに映すことを実現してきました。

「ただ単に自然酵母で無補糖無補酸、亜硫酸を使わないナチュラルな造りがしたいというわけではなく、
風土をワインで表現したい!と思ったときに最善だったのがこのスタイルだけ。
あくまでゴールは「風土の表現」であって「ナチュール・自然派」はただの手段なんです。」
と力強くおっしゃっていたのが非常に印象的でした。
その言葉には販売側である我々も深く共感しました。
わたしがワイナリーや酒蔵にいく度に思うのは
「これをきちんとした環境で長期保存できたらどれほど価値ある商品になるだろう」ということです。
ワインはブドウで造られます。日本酒は米とその土地の水で造られます。
その土地のその年の農作物を未来に残しておける手段なんてワインや日本酒以外にそうないはず。

しかし、貯蔵場所や経営の関係上、なかなか長期貯蔵に踏み切れない製造元も多いのです。
いつか、今この時の信州の風土を切り取った長野ワイン・信州地酒という宝を長く未来に残せるような仕事を
酒屋としてやってみたいと思っています。

テールドシエルのワインは現在入荷量の都合上、皆様へのご案内が難しい状況なのが正直なところです。
当店からご案内が行った際にはぜひともゲットしていただき、
糠地の風土をじっくり楽しんでみていただきたいです。

醸造所から少し下った場所にテールドシエルが経営する宿泊可能な施設もございます。
☆NUKAJI WINE HOUSE(糠地ワインハウス)
完全予約制で1日1グループ限定。
屋外のテラスでのバーベキューパーティなども可能
テールドシエル 糠地ワインハウス
テールドシエル 糠地ワインハウス

ちなみに・・・
当店には現在アビーズバインズがテールドシエルで委託醸造したナチュールワインがございます。
もしよろしければご検討ください!↓
アビーズバインズ

酒蔵・ワイナリー見学記~ジオヒルズワイナリー編~2023.07.31

こんにちは。アキヒコです。
今回は小諸市の「ジオヒルズワイナリー」へお邪魔してまいりました。
小諸、御牧ケ原に位置する2018年設立の「ジオヒルズワイナリー」。
ベトナム語のGió(風)と英語のHill(丘)が名前の由来です。
園主の富岡隼人さんは小諸の旅館「中棚荘」4姉弟の末っ子。日本語教師のボランティアで5年間ベトナムへ。富岡さんの奥様もベトナムの方です。前述のご縁があり、ベトナム語を用いたワイナリーやワインの名称に。富岡さんはワインを通じて日本とベトナムとの懸け橋になりたいという想いがあります。
ちなみにベトナムもフランス領だったという経緯からワインを製造していますが、一般大衆はワインではなくお肉を食べながら高アルコールのお酒を嗜むようです。

当日、駐車場の近くにヤギが2頭、下草を食べていました。私は富岡さんのペットだと思い尋ねると、富岡さんはペットでもあるし、仕事もしてくれていると。
草刈りを行わなくても、ヤギを木の杭に繋いでおけば杭を中心に円形に雑草が無くなります。人間では体力的に厳しい傾斜地の雑草もパクパク食べてくれる為、富岡さんも大変助かっています。また、ヤギのフンはブドウの樹のたい肥に、ブドウの樹の剪定した枝はストーブの薪に、そのストーブの灰はブドウ畑に撒くという形で一連の循環が出来ています。

ジオヒルズのスタートは富岡さんのお父様が小諸のマンズワイナリーの試験栽培を請け負ったことがきっかけ。お父様と当時のマンズの醸造責任者が同級生でした。
そのお父様も同じくベトナムのストリートチルドレンを支援する活動やベトナムの学生にそば打ち体験を通して日本の食文化を伝える取り組みでベトナムを縦断したことも。
本業である中棚荘では地産地消を。富岡さん曰く「自分で全部やる人」。
その後を引き継いだ富岡さん。当初はブドウ作りやワインの製造に従事するとは全く想像していなかったといいます。
ジオヒルズのブドウ畑は名前の通り丘のような台地でよく風が吹き抜けます。御牧ケ原は大昔、湖だったところが隆起。土壌は粘土質でブドウのタンニンがまろやかに。標高もあるので酸もしっかり。

富岡さんのワイン製造は自分の造りたいもの、ブドウのポテンシャルを出し切ることがテーマ。
最近、ジオヒルズワイナリーの「Mimakigahara 2021_M」が「フェミナリーズ世界ワインコンクール」において、2年連続の日本ワイン部門金賞を受賞する快挙を達成しました。
※フェミナリーズ世界ワインコンクール
本場フランスでTOP5に入る世界的知名度の高いコンクール。最大の特徴は、審査員が世界中の女性ワイン専門家であるということ。経験豊かな約600名の女性ワイン専門家が集まり、厳正なブラインド・テイスティング審査で評価しています。

一度目の金賞受賞の経緯ですが、賞を頂くために出品したというより自らのワインに対するコメントがいただきたくて出品をしたというもの。今までのものから180°製法を変え、香りに特化。
二度目の受賞ワインは一度目よりも骨格を残し、酸・香りも多少残して。富岡さんはブドウの異なる一面、ポテンシャルを引き出せたと笑顔。
富岡さんがおっしゃっていたことは「作ってみないとわからない。」小規模な製造量のためチャレンジできる絶対量が多くはありませんが、毎年、製法を変更し試行錯誤を行っています。
お客様に「あの年のワイン良かったよ」とお言葉を頂くことがあり、嬉しい反面少し困ってしまうこともあるとか。
ジオヒルズではシードルも製造。ワインはある程度、製造方法が固まっていますがシードルはまだまだクリエイティブ。海外では缶で気軽に楽しむようでそのような製品の製造も将来できたらいいですねと富岡さん。
富岡さんは地域との繋がりも大切にしています。シーズン中は毎月、小学生と高校生に畑に来てもらい作業を一緒に。ワインのエチケットも学生さんにデザインしてもらいます。高校生は商業科の生徒さん達。実際に自分たちが携わったワインを高校の文化祭で販売します。マーケティングの勉強にも。また、そのワインを取って置き、20歳の記念として楽しむ生徒さんもいます。
富岡さんは言います。「取り組みを通じて、まずはこういう産業もあるんだと知っていただければ。」
その先に目指すものはフランスのようにワインを文化としてこの地に根付かせること。
「ワインの品質は上げ続け、ワイナリーの敷居は下げ続けたい」と富岡さん。

ドメーヌ化については、まずは自分の手の届く範囲でやりたいという感じでした。富岡さんお一人では限界がある為、共生という意味でも契約農家さんのブドウも使って行けたらとおっしゃっていました。この地のワインが地元ですべて消費できれば一番良いといことも。現在の課題は収穫時期の人員確保。当店も何かお手伝いできればと考えています。
醸造場は特注の梁を用い、柱が一本もない造り。夏でも涼しく冬は寒すぎるくらいなんだとか。開放的な空間で内部は清掃が行き届いており、各機器には車輪が。自由にレイアウトの変更が出来ます。
印象に残っていることは内部の清潔感です。聞くと日ごろの清掃は欠かさないようで、特に8月の仕込みの前には機械を始めとしたあらゆる箇所を清掃するよう。
理由は言うまでもありませんが「白いキャンパスに絵を描くときれいだが、汚れたキャンパスに絵を描くとどうなるか・・・。」と富岡さん。酒質にも影響するようです。
畑は醸造所の周りと車で3分ほどのところに位置。合計約3ha。
畑に入った際、未舗装路の土がかなり粘性のあるものでした。粘土質土壌というものを実感。
ブドウの樹の支柱にはマンズレインカットといわれる雨除けの仕組みがありました。

富岡さんからは本気でワインを文化としてこの地に根付かせるという気概を感じました。そしてブドウ栽培やワイン製造は何代にも渡ってバトンを受け継いでいく産業ということも学びました。持続可能な産業として、また地域の一つの文化として受け継いでいく富岡さんとジオヒルズワイナリーの力に少しでもなれればと思います。これからは販売はもちろん、触れて知っていただけるよう、週末試飲でもワインを積極的に出していこうと考えています。