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酒蔵・ワイナリー見学記~城戸ワイナリー、杉の森酒造編~2023.06.24

こんにちは!
だいぶご無沙汰しております。アキヒコです。

今回より不定期とはなりますが、定休日を利用した酒蔵やワイナリーの簡単な見学記を掲載させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
当店の店主をはじめとした4名で県内をまわっていきます。

今回訪れた場所は塩尻の城戸(きど)ワイナリーと杉の森酒造。

まずは城戸ワイナリーから。

塩尻I.Cから10分ほど果樹園の立ち並ぶ一角に城戸ワイナリーはありました。
かわいい外観の来客スペースが見えてきます。

ご案内いただいたのは園主の城戸亜起人(きど あきひと)氏。

見学させていただけたのはワインの醸造所と貯蔵所、自社のブドウ畑。
醸造場は城戸さんの目の届くようなコンパクトなもの。屋外には除梗機や空圧式の絞り機が鎮座してありました。すべて仏製。国産のものは限りなく少ないそう。
屋内にはビン詰め機、サーマルタンクやステンレスタンクにはいったワインがありました。
追加を考えている設備や機械は何かありますかと尋ねたところ「もう場所が一杯で・・。」と今のところ予定はないよう。

醸造所のすぐ隣にある別棟の貯蔵棟にはオーク樽や瓶に入ったワインが整然と並び、出荷のその時を待っていました。
空調設備により城戸さんの狙った温度に保たれており、真夏の30度を超えるような日でも空調と壁に入った分厚い断熱材の効果でわりと余裕。
一番古いビンテージのワインについてお聞きしたところ全て出荷しており全くないとのこと。

醸造所と貯蔵棟の周りに広がるブドウ畑は木曽方面からの風通しの良い、さわやかで本当に気持ちのいいところでした。
見学時には奥様をはじめ4名のスタッフさんが畑で作業に従事。その中の男性が長らくワインづくりを一緒に行っているようで城戸さん曰く、今後独立するかもとのこと。
印象的だったのは、貯蔵棟での店主との販売に関する会話の時は静かだった城戸さんが、自社のブドウ畑での説明のときのほうが生き生きとして楽しそうだったこと。
城戸さんの自社畑では欧州系の品種を栽培。ゆくゆくはワインに使用するブドウは自社畑産100%を目指しています。
他の契約栽培のコンコードやナイヤガラに関しては生産者の高齢化により年々減少しているのが実情。移住者や跡継ぎのいる生産者もシャインマスカットのような品種に切り替えているよう。けれども先述の通り自社畑100%を目指しているので、今後、契約農家さんを増やしてコンコードやナイヤガラの数を確保するつもりはないとのこと。

最後、特別に試飲もさせていただきました。
白はステンレスタンクにもかかわらず色味は黄色寄り。口に広がる甘さを感じる豊かな果実味。時間が経つとハチミツ、カリンや白い花の様なアロマテックな香りが一気に開き、嫌な部分が一つもなく余韻もあるがすーっとしみ込んでくるような感じ。どんどん飲めてしまう。
赤は温度が上がれば上がるほど、バニラやチョコ、コーヒーの様な複雑な香りとなめらかなタンニンが主張。甘味、酸味、タンニンが調和したエレガントな赤。

私の城戸さんに対する印象は
・城戸さん自身が塩尻の土地に組み込まれているような、穏やかで自然体で実直な方。
・自身の造りたい美味しいワインをとことん追求する職人肌の方。
そんな部分がワインにも表れているのかなと感じます。

次は杉の森酒造。
当日は奈良井宿で「とうじそば」を頂いた後に訪問しました。平日でしたが観光客、特に外国人観光客が多い印象です。
宿場町の古き良き風景の残る奈良井宿の町並みのなかに位置。銘柄は「narai」。
このお酒とのペアリングの楽しめるレストラン、宿泊施設と隣接しており、酒蔵も同じ建物のなかにあります。

杉の森酒造は標高940mに位置。蔵元ベースでは日本一の標高を誇る蔵元です。(醸造所ベースでは真澄の富士見蔵に次いで二位)
酒蔵の運営は西川正貴氏が、そして入江将之氏が杜氏として一人で酒造りを行う二人三脚の酒蔵です。入江杜氏は県外の数々の著名蔵において酒造りに従事。この杉の森酒造では奈良井宿というバックボーンを最大に活かした酒造りを行います。

酒蔵内部は非常にコンパクト。麹室、槽場などは場所が固定されていますが、甑や瓶詰機などには車輪が装着されていて、臨機応変に場所を変えて造りを行います。
一番印象的だったことが隣接のレストランから酒蔵内部が見えるということ。
麹室を始め、様々なところが一部ガラス張り。
そこから見えるお酒のタンクはマットな濃いグリーンで塗装され、タンク上部にはnaraiのロゴがワンポイント。酒蔵の各所に暖色のライティングが施され、酒造りの道具もきれいに陳列。柔軟な発想で観光客に「魅せる」ということにも重きを置いているなと感じました。実際に拝見しましたが、酒造りの際は先述の暖色の照明からクリアな白いLEDライトに切り替えています。

入江杜氏は味わいに広がりを持たせたお酒がタイプ。総ハゼを意識した麹造りを行います。また、奈良井という土地は冬はもちろん夏でも乾燥しているので麹造りにはとても良い場所。
観光客の酒蔵見学もできるだけ受け付けており、ゆくゆくは酒造りを体験できるような見学方法も模索中。
ブログや商品ページ等でも記載しておりますが、naraiは酒米三種×精米歩合二種の組み合わせ。合計六つのパターンがあり、その内容がブラインドとなっています。もちろん各種で味わいは異なりますが、なめらかでシャープな味わいと強いというよりきめ細かい柔らかなガス感が特徴です。お答えいただいたお客様もおられるかもしれませんが、naraiの栓にはQRコードがあり飲み手側のアンケートとなっています。入江杜氏は、何も情報がないフラットな目線での飲み手の意見を聞きながら今後の方向性を決めたかったと話していました。実際にそのアンケートでかなりの量の意見や情報が集まったため今秋からは好評だった酒米二種に絞ってリリースする予定です。ラベルデザインも変更。今後はよりプレミアムな商品群や熟成酒にもチャレンジしていきます。

酒蔵の線路を挟んだ反対側には出荷スペース、カフェ兼ができる場所が。スタッフさんが和気あいあいと作業をおこなっており良い雰囲気。
何度か観光客も出入りしていました。六パターンのうち三種を試飲することができました。有料試飲スペースはよく見るとキッチンカー。お酒のタンクと同様、濃いグリーン。イベント等にも出店しており、ぜひ清水屋にも呼びたいと考えています。

※左から四番目が西川氏、六番目が入江氏
杉の森酒造では日本酒のこれからの可能性、ひとつの酒蔵のこれからのモデルを見ることができました。日本酒業界が直面している課題。他の酒類と比べ、遜色ないかそれ以上のレベルの技術・手間・時間・想いを惜しみなく注いでいて、世界からの評価も高い。けれど価格が安すぎる。その課題を打開する可能性のある5,000円~という価格設定にし、世界に挑むnaraiというお酒の可能性を感じました。実は当店もその考えに賛同しているからこそ杉の森酒造とのお取引を始めたという経緯があります。そして今後naraiの熟成酒という付加価値つけた商品が世界に進出した際にどんな評価を得るのか、今後どのような化学反応が起きるのか楽しみで、楽しみで仕方ありません。

簡単ではありますがこんなかたちでまとめていけたらと考えています。よろしくお願いいたします。

【完売御礼】6月のケグは6/30(金)の予定です!2023.06.23

清水屋夏の3連休いただきましてありがとうございました!
ご来店くださったお客様には悲しい思いをさせてしまったかもしれません。
大変ご不便をお掛けいたしました。

毎月第4金曜日のケグ、楽しんでいただけておりますでしょうか・・・?
さて、6月のケグですが、業務の都合上6/30(金)~とさせていただきます。
ご迷惑をお掛けいたします。
5月の酒イベントで試飲してとても美味しかったお酒をご用意しておりますのでお楽しみに!
ご好評につき完売いたしました!

日本ワイン史上初の快挙達成「ソラリス 甘口白ワイン」2023.06.18

今回は日本初の快挙を成し遂げた小諸市・マンズワインの極甘口白ワインのご紹介です。
「甘口ワイン」といっても侮るなかれ。
ワイン通の皆様はよくご存じかと思いますが、世界では甘口ワインの価値は非常に高く、
長期熟成のものは超高額で取引されることも。
特に、最近までのドイツやオーストリアでは、収穫した果汁の糖度によってワインを格付けしていたのです。

さて、甘口ワインと一言でいっても製法は様々。
貴腐(きふ)ワインは「貴腐菌」が付着したブドウで造る甘口ワイン。
ブドウに貴腐菌が付着すると水分が奪われ、糖度が高くてエキス分が凝縮したワインができます。
貴腐菌の発生は「濃い霧による湿気」で、
貴腐ワインはハンガリーのトカイ・アスーやオーストリア、フランス、ドイツのものが有名ですね。

一方アイスワインは真冬に凍結したブドウを収穫し、凍らなかった糖度の高い果汁を絞って甘口ワインを造ります。
ドイツでブドウ畑が霜に襲われ、もったいないのでそのままワインを造ってみたらものすごくおいしかった、
という偶然からできた産物なんだそう・・・ありがとうドイツの人。

今回ご紹介の2種の「クリオ・エクストラクション」は前述のアイスワインの仲間で、ブドウの凍結を人工的に行ったもの。↓

◆ソラリス 千曲川 信濃リースリング クリオ・エクストラクション 2021 (白・極甘口)(小諸市・マンズワイン)

果汁はなんと通常の3分の1しか取れない貴重なワイン。
2023年3月にフランスの国際コンクール「ヴィナリー国際コンクール2023」において日本ワインから史上初めて【部門最高賞】を獲得した注目の一本。
このコンクールは技術者である醸造家が審査を務めるため受賞の喜びもひとしお。
しかも「信濃リースリング」はマンズワインが交配した品種なのです。日本初を独自の栽培技術と独自の品種で受賞したのはものすごいことなのでは・・・
一杯でも満足感を得られる、はちみつやアプリコットや紅茶を思わせるような濃密な甘みと香り。そして酸味が後口をすっきりさせます。
よーく冷やして食後にデザートとしてゆっくり楽しんでみてください。ドライフルーツやバニラアイスなんかあってもいいかも・・・
コクの強いチーズもよし。
750ml 税込 7,700円(税抜 7,000円)

◆カーヴハタノ Iceソーヴィニヨンブラン 2020(白・甘口)(東御市・カーヴハタノ)

珍しいソーヴィニヨンブランのアイスワイン。爽やかな柑橘、メロン、蜜の香り。
程よい甘味に厚みのあるボディと凛々しい酸。抜栓後数日で香りが開き、長く楽しめます。
375ml 税込 1,980円(税抜 1,800円)